03/26 17:33 UP! 写メ日記連続小説16ISSEI(イッセイ)(31歳)
******前回のあらすじ******
5個くらい下の子に相撲で負けた。とってもくやC〜
同い年くらいの女の子にバカにされた。
とってもかなC〜
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この日から猛特訓が始まった。
朝から早起きして備え付けのジムで運動をし、クリーニング屋に向かい、そのクリーニング屋で相撲の練習をする、という過酷な日々を送っていた。
そんな過酷すぎる生活を数日間過ごし、この国ともおさらばする日が近づいてきた。
僕がこの国において仕事上で達成した成果は、”朝起きることのできないサイトウさんを起こす”以外は何もない。果たして俺は給料がもらえるのだろうか…
しかし、そんなだめだめな僕にもただ一つ。
この国で果たさなければならない約束が、たった一つ残っているのだ。
ー若干20歳にして力士として歩み始めたいっせい改め、"いせの里"は、その辺にいた近所の子供に、「竹子とその弟を呼んで来てくれやー」と強気で頼む。
稀勢の里だって弟子にはたぶんこんな感じの強気なはずだ。自分より弱い相手にはいつだって強気なのだ。
近所の子供は、こんな悪意に満ちた笑顔はないってくらいにやにやしながら竹子のもとへ向かった。
強くなった自分の力を見せつけてやろうと、僕も近所の子供に負けじとにやにやしながら待っていると、近所の子供は一人ですごすごと戻ってきた。
「竹子は今彼氏とデートしてるから無理だってさ」と、僕に告げると、
「いいから遊ぼうぜ~」みたいな感じで僕の帽子を奪って、へらへらと踊り始めた。
なに勝手に彼氏作ってんだよ!ロマンティック返せよッッ!!!
どうやら、僕は異国の地で女の子にフラれたらしい。ぜんぜん好きじゃなかったから平気だけど、なんとも失礼な話である。
別に好きじゃないから平気なんだけど、そもそも思わせぶりな態度を取るのはよくないと思う。僕以外の人なら勘違いしてもおかしくないし、変な話僕も少し危なかった。
一般的に、「女の子は気まぐれなんだぞ☆」みたいな風潮があるが、そういうところがほんとに気になってしまうし、未だに乙女心は勉強中なのだ。
と、情けないやら腹が立つやらでムカムカしながら仕事をしていると、遠くから見たことのある生意気なシルエットが浮かび上がってきた。