DIARY
写メ日記利他の心
人生で一番どん底にいたのは、
22歳の師走だった。
その頃、恩師から一冊の本をもらった。
京セラの創業者、
故・稲盛和夫さんの『心。』という本。
今思えば、この一冊が、
その後の俺の生き方の礎になったと思う。
その本の中で知ったのが、
「利他の心」
という言葉だった。
それまでの俺は、
どこかで人に見返りを求め、
いつも自分のことばかり考えていた。
これだけしてあげたんだから。
自分にも何か返ってくるだろう、と。
でも、そうじゃないんだなと思った。
見返りがあるから大切にするんじゃない。
せっかく縁があって出会ったのなら、
その人を大切にしようと。
それ以来、
そんなことを少しだけ意識して、
人と接するようになった。
不思議なもので、
そうやって生きていると、
自分が苦しいときに誰かが手を差し伸べてくれたり、
思いもしなかった人と出会ったりする。
気づけば俺は、
人に恵まれ、
出逢いに溢れる人生を歩いていた。
もちろん、
いいことをすれば、
いいことが返ってくる。
そんな単純な話ではないと思う。
去年の12月、
転職の面接を控えていた頃。
職場の近くで、
痩せ細った猫を見つけた。
なんとなく、
そのまま通り過ぎることができなくて、
コンビニまで行って、
マグロフレークを買って戻った。
猫が食べているのを見届けて、
俺はその場をあとにした。
別に、
何かが返ってくるなんて思っていなかった。
その後、
第一志望だった会社から採用をもらった。
今、その職場で働いている。
人にも恵まれ、
いろんな経験をさせてもらっている。
仕事にも、
やり甲斐を感じている。
もちろん、
あの日、
猫にご飯をあげたから
転職が決まったわけじゃない。
でも俺は、
あのとき猫の前を通り過ぎなかった自分で
よかったと思っている。
そして今年の5月には、
コインランドリーへ向かう夜道で、
突然たぬきが目の前に現れた。笑
人生って、
たまにこういう不思議な出会いがある。
人だったり、
動物だったり、
一冊の本だったり。
そのときには意味が分からなくても、
振り返ったときに、
「あの出会いがあったから、
今の自分がいる」
と思えることがある。
だから俺は、
これからも縁を大切にしたい。
何かを返してもらうためじゃなく、
自分と出会ってくれた人に、
ほんの少しでも何かを与えられる人間になりたい。
それは、
お金や物じゃなくてもいい。
優しさだったり、
勇気だったり。
「あいつも頑張ってるから、
俺ももう少し頑張ってみよう」
そんなふうに、
誰かがもう一度前を向くきっかけになれたらいい。
俺自身、
何度も立ち止まって、
何度も自分を諦めそうになった。
それでも、
いろんな人に支えられて、
ここまで来ることができた。
だから今度は俺が、
誰かに勇気を与えられる人間になりたい。
情けは人の為ならず。
誰かに渡した優しさが、
巡り巡って、
いつか自分がどん底にいる日に、
また誰かの優しさとして
返ってくることもあるのかもしれない。
それくらいでいい。
22歳の俺が知った、
「利他の心」
これからも、
この言葉を大切に生きていく。
そして、
誰かに勇気を与えられる人間になるためにも、
俺自身が、
挑戦することをやめない。
だから俺は、もう一度。
後楽園ホールのリングに必ず上がる。